社長に「面白いプレスリリースを出したい」という意味不明な相談をされたが、特に思いつかなかったので、フリーザを女体化した
夏が過ぎ、冬がやってきて、【悲報】2019年終了まであと〇日 みたいなツイートがタイムラインを駆け抜けていく季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
僕はと言えば先日24歳の誕生日を迎え、大人というにもまだ子供というにもイマイチ線引きのハッキリとしない年齢となりましたが、自宅の洗濯機置き場に収まるサイズの洗濯機が存在しない話を永遠にTwitterでしてる程度には、元気に過ごしております。
24歳児って感じ
私事ですが、普段のお仕事はフリーランスとして「バーチャルYouTuber」と呼ばれる人々のプロデュースとかお手伝いをさせていただいています。今では「Vtuber」という略称が一般的ですね。
バーチャルYouTuberって何?と思われた方は、今すぐこの記事を閉じて日常生活に戻るか、ググってください。
と言いたいところですがネットネイティブだからといって用語が通じない人々を置き去りにしていくと人として大事なものを失ってしまう気がしなくもないので、一応ざっくり解説すると、YouTubeにおもしろおかしい動画や歌を投稿したり生放送で己の中に潜む魔物を発信していて、かつ存在がバーチャルである人々のことを指します(諸説あるので、学者達の間ではたびたび激しい議論が巻き起こっています)。
例を挙げると、こういう人達です。
これは「Marpril」という名前で活動している二人組のバーチャルYouTuberです。この動画ではパッと見で虚空を吸引したりしていますが、そういうものなので諦めてください。
歌って踊ったりもしています。
自分が担当しているタレントの宣伝はこの辺にしておくとして、とにかくこれで「バーチャルYouTuber」がなんたるかは多少なりご理解いただけたと思います。
そしてバーチャルYouTuberを語るうえで欠かせないのが、「VR」という概念です。おそらく「バーチャルYouTuber」よりも聞き馴染のある言葉かと思います。「VR」は「バーチャルリアリティ」の略で、いわゆるあのゴーグルを顔につけて別世界を体験するアレです。
これはフリー素材サイトで見つけたありえないくらいインターネットネイティブな女の子です
最近ではバーチャルYouTuber、バーチャルアイドルなどのバーチャルタレント達が自身のパフォーマンスを披露する「バーチャルライブ」が目覚ましい発展を遂げていること、ご存じでしたでしょうか?
しかもそれが、スマホで体験できる時代になったこと、ご存じでしたでしょうか?
スマホでバーチャルライブを体験できるアプリ・・・それこそがパルス株式会社が開発するバーチャルライブアプリ「INSPIX LIVE」です。
何を隠そう僕はパルス株式会社さんのお手伝いもさせて頂いているので、ここまでの文章は全部棒読みのつもりで綴っています。
あえてもう一度大きめの文字サイズで書きますが、スマホでバーチャルライブを体験できるアプリ・・・それこそがパルス株式会社が開発するバーチャルライブアプリ「INSPIX LIVE」です。
INSPIX LIVEがどんなアプリなのかは、INSPIX LIVEで定期公演をしているバーチャルアイドル「えのぐ」の動画を見れば大体理解できると思います。
初めまして!!VRアイドル「えのぐ」の、白藤環です!!! pic.twitter.com/yFhbb6777v
— 白藤 環 (@erimakitamaki) August 23, 2019
「えのぐ」はなんとこれをリアルタイムライブでやってるんですが、色んな意味でわけわかんないですよね。リアルタイムで宇宙空間に飛び立つアイドルって宇宙のどこを探してもいないと思います。
こちらは「えのぐ」による「ハートのペンキ」のMV
技術も進歩したもんですよ。僕がおじいちゃんになる頃には「おじいちゃん、いつまでも現実にこだわってないで、そろそろバーチャル空間に身を移しましょう」とか免許返納のノリで言われてるかもしれません。家庭を持てればの話ですが・・・。
ということで、この記事では「INSPIX LIVEがスゴイ!」ということを解説しました!いかがでしたか?
ここまでは全部前置きなんで正直この記事のタイトルとは全く関係ないんですけど、とにかく本題に入ると、先日パルス株式会社の社長さんから突如として連絡が入りました。
話によると、「INSPIX LIVEが上限同時接続53万人を突破した」とのこと。
これは社長の写真ではありません
要するにINSPIX LIVEが本気を出せば「53万人が同時にバーチャルライブを楽しめる」ということです。
それはめでたい。
見せていただいた公開前のプレスリリースによれば「53万人という人数は、東京ドームの収容人数の約10倍」であり、現実世界にそのような規模のライブ会場はそもそも存在しないんだそうです。実際53万人も同じ場所に集まったらその場のノリで国ができちゃいそうな勢いですよね。
そんなめでたい連絡に次いで、このような文章が送られてきました。
いや僕も普段はここまで音速でケツまくって逃げるような男じゃないんですけど、つい数か月前にも他の会社の社長から全く同じような依頼を受けて、悩みに悩んだ末Unityのコスプレをしたり、友人にシャンプーしながら焼き鳥を食べてもらったりした、という過去があるんですよ。
読まないと全く意味が分からないと思います
アイデアの搾りカスを限界までテコ入れしてなんとか体裁を保ったという、僕としては苦い経験だったので、あの悪夢をもう一度繰り返すのはごめんです。ここは素直に引き下がるのがむしろあっぱれというものでしょう。
・・・が、頼られている以上なんとかお役に立ちたい、という気持ちがあるのもまた事実。しかしまた友人にシャンプーと焼き鳥を同時に手渡すようなバグった行動はしたくありません。結局考えて考え抜くしか道はないようです。
そして考えて考え抜いた結果、僕が導き出した結論は・・・。
よくよく考えたら「社長に面白いプレスリリースを出したいという意味不明な相談をされたので、イカれた写真を撮った」という記事も今読み返してみると全体的に論理が破綻していたので、今さら前後の文脈を綺麗に繋ぐことになんの意味があるというのでしょうか。
僕は会社がプレスリリースを出すたびに変なことする人。それいいんですよ。読んでさえもらえれば。
ということで、今回は「53万」という数字にあやかって、
☆フリーザ様を女体化してみることにしました☆
理由は、僕が見たいからです。世界は僕を中心に回ってんだよな。
ちなみに記事の最後にオモ〇ロ風のプロモーションが入りますが、フリーザの女体化代だと思って読んでください。
フリーザを女体化するにあたって必要な条件は二つありました。
一つ目は、イラストレーターさんを探すこと。
二つ目は、イラストレーターさんが「フリーザの女体化を描いてください」と言われて快く引き受けてくれる異常性を持ち合わせていること。
二つ目の条件があまりにも鬼門すぎて泣き出しそうになってしまいましたが、なんとかイラストレーターさんは紹介していただける運びとなりました。
連絡先を教えてもらい、とにかくいちかばちかフリーザの女体化をお願いしようとした矢先、
もうすでに鬼門をクリアしていることが発覚し、かなり困惑しました。
今回フリーザの女体化というえげつない依頼を受けてくださったのは、イラストレーター兼漫画家のろうかさんです。
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ろうか
イラストレーター兼漫画家。
「コミックキューン」にて「おとめバレ」連載中。
Vtuber「リフ=プレーズ」「イル=フロール」のキャラクターデザインも手掛ける。
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フリーザの女体化をお願いした人が男の娘の漫画を連載していて、Vtuberもデザインしているというしっちゃかめっちゃかな事態になりましたが、描いてくださるというのであれば何も文句はありません。
これは僕がろうかさんに送った怪文書の一部です。
☆一週間後☆
時が経ち、「そもそもなんでフリーザの女体化が見たかったんだっけ?」という考えてはいけないことが脳裏をよぎり始めたころ、ろうかさんから遂に「フリーザの女体化が完成した」という連絡が入りました。
何故フリーザの女体化が見たかったのかはもはやさっぱりわかりませんが、僕には「フリーザの女体化」を見届ける義務があります。なぜなら僕がお願いしたから。そもそもなんでお願いしたんだっけ?
そしてこちらが、イラストレーターのろうかさんが手がけた、フリーザの女体化です。
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フリーザたむッッッッッッッ・・・・・・・・・!!!!!!!!!
圧倒的な「萌え」に、なすすべもなく崩れ落ちるしかありません。
もしこれがナメック星を蹂躙したフリーザだったとしたなら、クリリンも幸せな顔で散っていったでしょうし、悟空も言うほどキレてなかったと思います。
さらに言うなら絶対部下の一人一人を大切にしていて、あと確実に料理が下手です。
うっかりドラゴンボールをベジータに持っていかれて、ちょっと半泣きになってる姿も容易に想像がつきます。
素直に凄すぎてかなりビビったので、フリーザたむを描くにあたっての「ポイント」をろうかさんにお伺いしてみました。
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今回キャクターデザインしましたフリーザ様は第1形態の「わたしの戦闘力は53万です」と仰っていたフリーザ様です。
紫を主体とした色合い大きな尻尾に黒い2本の角そして小型ポットといったフリーザ様を要所に感じられるキャクターデザインにしました。
変身するたびパワーが遥かに増すと仰っていたフリーザ様・・・これからどんな変身をするのでしょうか。
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今回キャクターデザインしましたフリーザ様は第1形態の「わたしの戦闘力は53万です」と仰っていたフリーザ様です。←天才
紫を主体とした色合い大きな尻尾に黒い2本の角そして小型ポットといったフリーザ様を要所に感じられるキャクターデザインにしました。←天才
変身するたびパワーが遥かに増すと仰っていたフリーザ様・・・これからどんな変身をするのでしょうか。←ウェディングドレス
ということで、無事フリーザたむを見届けることができました。
この記事の為だけにフリーザたむを描いてくださったろうかさんには一生頭が上がりませんし、僕はちょっと田舎に帰って頭を冷やそうかな、と思いました。
ろうかさん、本当にありがとうございました。
スマホでバーチャルライブを体験できるアプリ「INSPIX LIVE」のことはみなさんよくご存じかと思いますが、なんとそのINSPIX LIVEが上限同時接続53万人を突破いたしました。
53万人という人数は、東京ドームの収容人数の約10倍にあたり、現時点では同レベルの人数を収容できるライブ会場は、世界に存在していません。と、このプレスリリースに書いてありましたので、お読みください。
また、同社の開発するINSPIX WORLDについての情報も解禁されたようです。
このなんだかヤバげな文章を僕の方でつるつるに要約すると、
☆INSPIX LIVEはINSPIX WORLDという大型アップデートを控えている☆
モンスターハンターワールドアイスボーンみたいなもんだと思います。
☆INSPIX WORLDの特徴はソーシャル機能の追加実装☆
オンラインゲームさながら、アバターを作って一つの空間に集まることができるっぽいです。つまり、モンスターハンターワールドアイスボーンみたいなもんだと思います。
そして何よりの目玉は、これらの会社がパートナーとして参画することです。
・クリプトン
・EVIL LINE
・ハイスピードボーイズ
・猫耳FM
・インクス
まぁ僕も好きなバンドのメンバーの名前まで把握しているタイプの人間ではないので、企業名を並べ立てられもわからないかと思いますが・・・。
クリプトンは初音ミクだったり、EVIL LINEはヒプノシスマイクだったり、インクスはEGOISTだったり、それぞれ有名なキャラクターIPを擁している会社です。ということは、それぞれのキャラクターのバーチャルライブが見られるようになる可能性もあるってことだと思います。知らんけど。
実際初音ミクとのコラボ企画はすでにスタートしている模様。
これはINSPIX WORLDというプラットフォームと、キャラクターIPがコラボするとも言えるので、つまり、モンスターハンターワールドアイスボーンみたいなもんだと思います。
ということで、闇鍋みたいな文章を書かせていただきました。お疲れ様でした。
☆INSPIXLIVE アプリダウンロードはこちら☆
とりあえずインストールすれば、VRアイドル「えのぐ」の録画ライブをすぐ楽しめるのでおすすめです。
誤魔化し誤魔化し
祝われた。
24歳の誕生日を、それはそれはもう本気で祝われた。祝われすぎて疲れた。
コーサカに打ち合わせに誘われ、そのまま二人で銭湯行って帰ったら僕の部屋に溢れ返るほどの人間が待ち構えていた。マジで知らない人が5人くらいいたのが非常に印象深かった。
挨拶をしたら「名前だけでも覚えて帰ってください」と言われた。ここは僕の家なんだが。
2019年10月18日をもって丸々24年間生きてきたことになるが、ここまで盛大に祝われた誕生日は無い。バーチャルYouTuberという世界の中で出会った友人達や、プロデューサーという立場で接している子達から沢山の祝いの言葉をもらった。お祭り騒ぎすぎてインド映画かと思った。
祝ってくれた人達は祝いすぎて疲れて寝たので、お気持ちテキストでも生成しようと思う。
僕が普段考えてることは基本的に後ろ暗いことばかりなのであまり発信しても意味は無いと思うが、誕生日なので許してもらうとして、書く。
僕がプロデューサーとして関わっている人達を上手く表せる言葉がないのでとりあえず「彼女達」という表現を使わせてもらうと、僕は常に彼女達に対してひたすらビビりながら接している。
僕は過去の経験から女性恐怖症になっていた時期がある。今ではある程度のコミュニケーションはできるものの、そもそも経験値が足りなすぎる。彼女達が何を考え、何を気にして、何に対して傷つくのか、何に対して喜ぶのか。そういった根本的なところを上手く読み取ることができない。そのせいで彼女達を傷つけてしまったこともきっとあるだろうし、表面化してないだけの問題もこれから出てくるかもしれない。
じゃあ何でプロデューサーなんかやってるんだ、という話だが、それは正直なところ僕にもわからなくなってきた。普通に最低だと思う。許されるなら今すぐ田舎に帰って米とか芋とか育てて暮らしたい。
誕生日でこれだけ祝われておいてこんなことを言うのはマジのゴミカスだと思うが、僕は少なからず、プロデューサーという道を選んだことを後悔している節がある。それはこの仕事自体がクソだとか誰が悪いとかそういった外的要因の話ではなく、ただ単純に「自分」が彼女達を導くこと、それを正しいことだと断言できないからだ。
誰だって「自分を良く見せたい」という気持ちを持っていると思う。僕はこれまで、自分を飾り付けることに必死だった。大学を辞め、目先のムーブメントに身を投じた時、「上手く立ち回ること」しか考えていなかった。自分を能力のある人間だと必死にアピールして、その中でたまたま手に入れた結果"だけ"を身につけて、後ろ暗い部分を見えない場所に追いやって騙し騙しやってきた。それも一つの努力だったとは思う。が、結局のところ絶対的に「能力」として使えるものなんてほとんど持っていない。最後には「仕事」を手に入れたが、あとは段々とボロが出るばかりである。
能力も無いのに見栄を張っている人間が、他人の人生を、時間を預かっている。
信じてついてきてくれた人達を裏切っている。
結局は調子づいていただけ。
そもそも最初から全部間違ってたんじゃないか。
僕はこのまま続けてもいいのだろうか。
そういった後ろ暗い思考が永遠に頭の中を回り続けたままで彼女達と接するのが、正直辛い。
そして、ここに書いた文章が全て「逃げるため」の予防線だということも、理解している。
クズ極まりない。アルティメットカス。植林とかする時に一緒に埋めてもらいたい。きっとすくすく育つ。
とまあ僕はこのレベルのド暗い考えを常に持って毎日を過ごしている。何度も何度も気が狂ってスマホを食べそうになった。今では精神的にひどく落ち込んだりパニックになることも幾分少なくなってきたが、おそらくそれは麻痺であって成長ではない。
ただこれは、独白ではない。
なぜなら彼女達も決してバカじゃないから。
僕が「誤魔化し誤魔化し」やっていることも、間違いなく勘付いているだろうから。
その上で彼らが僕の誕生日をちゃんと祝ってくれたことは、心の底から嬉しかった。言い換えるなら、凄まじいほどの「安堵」だった。それを少し情けなく思う。
Twitterでも何度か言っているが、僕もきっとプロデューサーとして大きな失敗をやらかす時が必ず来る。その恐怖に怯え続けることも僕の役割だと思う。もっと言えば誰かに嫌われることすらも役目になってくるのかもしれない。そしていつかは何かが終わりを迎える時も来るだろう。
ただ何があったとしても、来年もまた誕生日を祝ってもらいたいし、「安堵」ではなくもっと素直に喜べるようになりたい。その程度の人間には、なりたい。
こんなバカ暗い話をしてしまって申し訳ない。直接伝えられなくて申し訳ない。でも誕生日なので全てが許される。無敵。そう思い込んでこの文章を公開する。
改めて、祝ってくれてありがとう。がんばります。
いつかみんなの満点スマイルに囲まれて爆裂ハッピーにプロデューサーを退くのが今の夢です。
社長に「面白いプレスリリースを出したい」という意味不明な相談をされたので、イカれた写真を撮った
おはようございます。エハラミオリです。
文字通り忙殺される日々を過ごしておりますが、そんな中で斗和キセキや蒼乃ゆうきを運営しているPictoriaの社長からこんなご相談を受けました。
「1億円の資金調達が決まったという旨のプレスリリースを出したいんだけど、面白いプレスリリース出したいから、なんか面白くしてほしい」
何の為に????????????????
別にいいじゃん。バーチャルYouTuberの運営やってる会社がなんと1億円も投資して頂いたという事実ですでに結構なギャグなんだから。Vティークやら何やらで限界スレスレになってる僕を”死”へ突き落とすのがこんな仕事では、親も浮かばれないというものです。
・・・しかしながら僕もお給料を頂いている身。社長から直々のお願いとあっては断れないでしょう。この依頼からプレスリリースまで1週間しか猶予がないという状況には半ばキレかけましたが、それでも達成してこそプロというものです。
しかし、冷静に考えてプレスリリースを面白くするのって不可能じゃないでしょうか。
文章はきっちりと大真面目なものが用意されてるわけですし、中身を捻じ曲げてしまっては会社の信頼も危険に晒されてしまいます。もし横から何かを差し込むとすれば、例えば”強め”の写真を撮って視覚的に殴るしかありません。
強めの写真を撮って視覚的に殴るしかありません。
強めの・・・
強い写真があれば、社長も強く見えますし、ひいては会社の強さに繋がることは間違いないはずです。というワケで、強い写真を撮って「強い会社」をアピールすべく、早速買い出しへと出かけました。
タクシーに乗り込み、渋谷のドンキへと到着。連れてきた優秀なスタッフ2名と共に、撮影で使えそうなものを購入していきます。
・・・と思ったのですが、連れてきたスタッフが開始数分で二人ともオレンジ色のサイリウムを購入しようとしていたことが発覚し、残念ながら戦力外通告をすることとなりました。どうやら僕一人の力でなんとかするしかないようです。
僕にはドンキに来るまでの数分間で練り上げた完璧な作戦がありました。それは・・・
ゲーム制作エンジンであるUnityのコスプレです。どういうことかというと、
Unityやモデリングソフトでよく見かける、これを作ります。「Uniuty 座標軸 名前」などで片端から検索をかけても名前がわからなかったので、ここでは「カラフル棒」と呼ぶことにします。
このカラフル棒さえ作ることができれば、あたかも現実世界がゲームの制作風景のように見えるのは間違いないでしょう。そうなれば、Pictoriaの理念である
「バーチャルと現実の境界をなくす」
という絶妙にダサいスローガンを体現することができます。リアルアバターを作るよりはよっぽどお手軽なはずです。
僕が準備に必要なものを買いそろえて他の二人と合流すると、またしても二人そろって恐竜のおもちゃを購入していることが発覚した上に、お会計がそれぞれ8000円を超えていたので、無視して僕だけタクシーで帰りました。
さて、早速カラフル棒を作っていきます。まずはカラーコーンに赤、青、緑のカラーテープをぐるぐる巻きにして矢印部分を作ります。本当はスプレーなどを使いたかったのですが、何故かドンキでスプレー塗料が見つからず、また1分1秒でも早くこのクソくだらない仕事を片したかったので手近にあったカラーテープで代用しました。
こんな感じです。明らかに仕事が雑ですが、誰が僕を責められましょうか。
ちなみに中を覗いたら一発で不安な気持ちになったのでシェアしておきます。
次は針金を使って棒部分を作っていきます。何故針金を利用したかというと、適当に買ったので理由は特に無いです。僕自身「なんで針金を利用したんだろう」という気持ちに苛まれながら制作するハメになりました。
途中童心に帰りながらも制作を続け・・・
完成
早速これを使って、現実世界に3Dモデルを召喚してみます。
お、親方!!!!部屋に3Dモデルが!!!!!!
完璧です。どこからどうみてもUnityのエディター画面にしか見えません。矢印の先をドラッグすれば、今にもその方向へスライドしていきそうな空気を纏っています。
余った時間で制作した「当たり判定の無い椅子」も、”3Dモデル感”をバッチリと引き立てています。カラフル棒が僕の股間に突き刺さっているのはこの際目をつぶりましょう。
次は実際にプレスリリース用の撮影環境を作っていきます。ドンキに連れていったスタッフが買ってきた8000円分の虚無も余り倒していたので、使っていきたいと思います。
まず、トリケラトプスとティラノザウルスのおもちゃは、
勝手に首をつけかえてティラケラザウプスにしてやりました。古代生物を現代に蘇らせる技術と、二つの動物を合成させるキメラ技術によって生み出された最強のモンスターです。人間のエゴを体現しているようにも思えます。
しかし、ティラケラザウプスは非常に気性が荒いので、麦わら帽子で視界を奪っておきました。これで安全に撮影を行うことができます。
また撮影部屋に「タピオカが丸々残った飲みかけのタピオカミルクティー」という現代社会を痛烈に批判するアイテムが置いてあったので、窓際にセッティングしておきました。
これで撮影すれば・・・・
完璧です。インパクトはあるが写真の要素から何も読み取ることができない、ただシンプルに強い写真を撮ることに成功しました。
撮影直前に思い付きで配置した「防火用バケツの前で焼き鳥を食べながらシャンプーする人」も、うまい具合に画面を散らかしています。
僕はドライブ用のクッションを腰に巻くことで「腰のコライダーがヤバい人」を表現し、さらに3Dモデル感を強めることに成功しています。
養命酒こと蒼乃ゆうきは突如として撮影部屋に乱入し、
レッドフレーム改こと斗和キセキは「お前が室内にいるとバズる」という理由で外に締め出され、
社長はちょっと浮いています。
ちなみに社長が持っているのはペット用のリラックスマッサージ用品なんですが、
「これいいじゃん」とか言いながら普通に首をほぐしていて「あ~あ」という気持ちになりました。
ということで、強い写真を撮ることに成功しました。これをプレスリリースの写真として使えば、誰もが「この企業は1億円の投資を得られるに値する会社だ」ということを理屈ではなく本能で理解してくれることでしょう。
実際にこの写真が使われたプレスリリースはこちらです。弊社では現在、ドンキでオレンジ色のサイリウムや恐竜のおもちゃを買わない優秀なエンジニアを募集しております。
僕からは以上です。ありがとうございました。
イカれた写真をプレスリリースに使う会社 Pictoria ホームページ
不幸色の覇気を持つ女 蒼乃ゆうき Twitter
エハラミオリ Twitter
一周年に寄せて
夏に差し掛かる、その少し前ぐらいだっただろうか。
というより、今から一年前なのだから、それは間違い無いだろう。あの頃はまだ大学に在籍していたが、通学も講義も全てが億劫だった。何より、元々サボりがちだった人間が、バーチャルYouTuberというムーブメントに立ち会ってしまっては、それを言い訳として振り回すのは自明だ。"フットワークが軽い"人間として、このコンテンツに関連する場へひたすら顔を出した。もちろん講義を蹴っ飛ばして。結果的に現在があるとしても、決して褒められたことではない。
その中で、おそらく仕事として初めて直接的な関わりを持ったのが、あの二人だ。
正反対のように見えて、どこかでしっかりと気持ちを共有している───そんな関係値が印象的だった。そしてそれは今でも変わらない。あの二人が肩を並べていることが、不思議なようにも思えるし、当たり前のようにも思える。女の子とはそういうものなのだろうか?
ほんの数ヶ月の間に、いろんなことがあった。デビューとか生放送とか、作詞とか作曲とか、レコーディングとか。ただ、別にここで思い出語りをしたところで特に意味は無いだろう。ありがたいことに、あの二人は今でも僕のことを覚えてくれているようだし、語られるなら彼女達の口から語られるべきだ。何より、良い仲間達と、沢山のファンに囲まれている彼女達を見ると、僕から多くを語るのは野暮なことに思える。おそらく彼女達も、僕にまつわる話をしていいのかどうか、探り探りなのだろう。僕としては、今はそのくらいが心地いい。
僕が関わっていた時間はさほど長くなかったが、あの二人とほんの一瞬でもクリエイトができたことは、僕にとって誇りだ。本当に、ありがとう。
そして、迷惑もたくさんかけたと思う。
僕も今年で24になる。日々の中で、まだまだ自分がガキであることを痛感すると同時に、自分なりに成長しているつもりだ。
彼女達もきっと、あの頃から大きく成長しているのだろう。
何がなんだかわからないまま出会って、よくわからないままに気づけば別の道を歩んでいた。まさに「夢のような時間」だ。あれが現実だったのかすら疑わしい。結局僕はあの二人のことを、ほとんど何も知らない。
もし、またどこかで巡り合った時、どんな話ができるのだろうか。何を知れるのだろうか。何を教えてあげられるのだろうか。今はそれが楽しみだ。
この文章書いてる時にタから連絡来て泣いた
チーズ揚げ餃子
一人暮らしを始めてから、宅配を頼むことが増えた。宅配といっても出前のようなものではなく、UberEatsという珍妙なサービスだ。マクドナルドや吉野家など、大手チェーン店の商品をバイトの人がチャリンコかっ飛ばして届けてくれる。一時期職場でも大流行りして、各々が別の商品を注文し、一日の同じ時間に3人ほど知らない兄ちゃんが訪ねて来たこともある。まとめて頼め。
バーチャルYouTuber業界の人間として言うのもおかしな話だが、元々流行り物をあまり好まない性分なので、その頃は「UberEatsを利用する人間は軟弱者」と言い張って譲らなかった。そもそもクソ狭いオフィスにマクドナルドのジャンキーな香りを充満させるんじゃない。腹減るだろが。
とはいえ、コンビニ飯にも飽き飽きしていた。かといって自炊ができる訳でもないし、わざわざ店へ出向くと大きく時間を削られてしまう。別に一人暮らしで利用する分には合理的だろうと思い、UberEatsのサイトを開いた。住所とクレジットカードを登録し、商品を選ぶ。
20分後にはすた丼のガーリックバター牛丼が自宅の机に鎮座していた。魔法だ。
割高であることを除けば、なるほど確かにこれは便利であると言わざるを得ない。何より、注文できる商品、加盟している店舗が想像より多かった(都内なればこそだろうが)。店舗一覧を眺めている時間は、コンビニの棚を眺めるよりよっぽど楽しい。あの絶妙に打率の悪いコンビニ飯を吟味するのはもうこりごりだ。結局売れ残ったハッシュポテトを野菜ジュースで流し込むのが常だった。ちなみにコンビニのハッシュポテトはあっためずに常温で食った方がサクサクして美味い。
というわけで、今日もUberEatsを利用した。餃子の王将の商品を眺めていると、「揚げ餃子」の文字が視界に入った。揚げ餃子といえば、子供の頃からの大好物である。母の作る餃子は異常なほど美味かったが、それがカリカリに揚がって食卓に並ぶのはドラッグ・パーティに近い幸福度があった。無論ドラッグをやったことは無い。
餃子は別にいつでもどこでも食える定番メニューだが、揚げ餃子となれば話は別だ。今日は揚げ餃子と、白米。これで決まり。必勝。最強。
商品をカートに入れ、注文ボタンを押そうとしたところで「チーズ揚げ餃子」というものがあることに気づいた。特に迷うことはない、チーズ揚げ餃子にチェンジだ。何故なら俺たちはチーズが大好きだから。
20分ほどでこれまた知らない兄ちゃんが飯を届けてくれた。最近街でよく見かける、黒くて四角いバッグを背負っていた。彼はきっと現代のサンタさんに違いない。ヒゲ生えてたし。玄関口で商品を受け取り、ドアを閉める。たった数秒のふれあい。一期一会。
プラスチックの容器を開けると、そこには小ぶりなチーズ揚げ餃子が10個ほど並んでいた。宅配という過程を経ている為にあまり行儀の良い並び方はしていないが、揚げ餃子の姿を見ること自体数年ぶりだ。自然と気分が高揚した。
早速一つ口に入れる。カリカリの皮が軽快な音を鳴らし、熱々のチーズが舌に流れ込んでくる。
肉入ってねえ。
これチーズ揚げ餃子じゃなくてただのチーズを餃子の皮で包んで揚げたものじゃねぇか。端折って言えばチーズ揚げでしかないだろ。おかずじゃなくて完全につまみだよこれは。
ふざけやがって。お前。チーズ揚げ餃子は「チーズの入った餃子を揚げたもの」であるべきじゃないのか。お前のような奴が餃子を名乗るな。ドサンピンが。バカ。
白米を口に放り込む。合わない。泣きたくなる。チーズ揚げをかじる。熱い。泣きたくなる。
女の作った味噌汁が飲みたい。
何が残せるか
引っ越した。
半年間ほど、 バーチャルYouTuberを運営する会社のオフィスに住み込んで働いていた。朝になれば自動的に始業、夜は社員が全員帰るまで仕事、という環境。悪くはなかったが結構な頻度で気が狂った。流石にこれ以上住み着くのはお互いにとっても得策ではないと思い、物件探しを始めた。
新居は割とすぐに見つかった。一人暮らしを決めてから、実際に引っ越すまで、大体1ヶ月ほど。元々荷物が多い訳でもなかったので、「荷物を運ぶ」という意味においての引っ越しは友人達の協力によって数時間で終えることができた。残念ながらネット回線だけは開通が間に合わず、致し方なくiPhoneのテザリングでPCをオンラインにしている。あと数日間の我慢とはいえどネットが自由に使えないのはほとんど呼吸困難に近い。
「できること」が減ると、必然的に空いた時間は考え事をしてしまう。
今現在、僕は「バーチャルYouTuberのプロデューサー」をしているらしい。よくよく考えればいつの間にそうなったのか全く覚えていない。ただ目の前にあるものを最大化しようと必死になっていたら、結果的にそういった立場───「肩書き」に近いものを持っていた。持たされていたというべきか。ハッキリ言ってそんなものはクソの役にも立たない。「バーチャルYouTuberのプロデューサー」という言葉を振り回して今後数十年を生きていけるとは毛ほども思わない。場合によっては数年経たない内に僕は路頭に迷うことになるだろう。このコンテンツを仕事にする、というのは僕の人生において最も大きなギャンブルだったが、「賭けに勝った」と言える日は来ない気がしてしまう。一歩間違えれば崖へ転げ落ちる細い道を、そう認識した上で歩もうとするにはあまりにも若すぎた。予防線もバックアップも何も無い。自ら背水の陣を敷いた記憶も、無い。要するにアホが運良く生き残ってるだけの状況だ。
まぁ、正直僕はそれでいい。死にたくはないが、死んでも仕方ない。元々どうしようもない愚図な人間だったのだから、むしろ身にあまる幸運を享受しているとも言える。
だが、なんと定義すればいいかわからないので一旦は「彼女達」としておくが、彼女達に関しては別だ。
僕が潰れようが潰れまいが、他人を巻き添えにしていい理由はどこにも無い。人生の貴重な「若い期間」を割いてくれている彼女達に、僕は少なくとも何かを残さなければならない。僕は前述した通り自分が潰れてしまうリスクを承知の上で活動しているが、彼女達にその覚悟はあるのだろうか。たぶん、「無い」のが当然だ。実際どうかはわからないし確かめる術もないが、少なくとも僕はそう仮定しているからこそ頭を悩ませている。
総称して「バーチャルYouTuber」と呼ばれる彼女達が、いつかその終わりを迎えるとして、その手元に一体何が残ると言うのだろう。経験は確実に残るものではあるが、それが「失敗としての経験」であって欲しくないのは、ひょっとすると僕のワガママなのかもしれない。勝手に自分で活動を始めて、勝手に辞めていくのならば知ったこっちゃないが、そうではないパターンもある。構造上、実績も残りづらいかもしれない。そして何より厄介なのは、「前例」が少なすぎることだ。最低限どこを目指すべきなのか、結果的にどうあるべきなのか、そんなことすらもぼやけている。これが独特な悩みなのか、あるいは他のコンテンツにおいても似たような状況がままあるのかすらわからない。それでも「頑張ってやっていく」のだが。
そもそも、いつか終わってしまうのを想定していること自体が間違いで、ネガティブなのかもしれない。
しかし、他人の「若さ」を背負っているという状況と向き合いもしないまま事を進めていくのは、きっと間違っていると思う。
そして、同じような気持ちで僕という人間を見てくれている人は、僕の若さを背負おうとしてくれている人は、どこかに一人でもいるのだろうか。